香典をもらったら香典返しは?税金の取り扱いはどうする?
香典をいただくのは、何かと出費の多い葬儀の折に、大変ありがたいものですが、香典にまつわるいくつかの習わしがあります。
常識的なことも、意外と知らないことも含めて、喪主として知っておくべき香典の扱い方について説明します。
そもそも香典返しとは
そんなに昔からあった習わしではなく、まして宗教的な意味があるようなものでもありません。
戦前までは、香典返しは、お礼状のみでした。
その当時の香典は、働き手を亡くした家が、生活を立て直すまでの援助という意味合いが強く、実際、半年くらいは暮らせるほどの金額が集まったようです。
葬儀も自分たちが自宅で行い、今のように葬儀費用も高くなかったこともありますが、まさに親族、ご近所での助け合いの精神から行われていたものでした。
いただいた香典は、喪家の生活を支えるために使われていたので、香典返しとして物品を贈るという慣習はありませんでした。
それが戦後になって、葬儀を葬儀社が担うようになってから、お歳暮やお中元やバレンタインデーで物品を贈りあうように、お礼状とともにいただいた香典の半額くらいの品を四十九日の忌明け法要後に送るという慣習が作られてきたのです。
葬儀費用も高額となり、香典の半分はお返しするという常識が形成されて、香典で当面の生活を支えるどころか、葬儀費用全額を賄うこともほぼできなくなりました。
ただ、この香典半返しという慣習は社会に受け入れられ、今でも当たり前のように行われている地域も多いです。
現在の香典返しは
現在は、香典返しの慣習がまた揺らいでいます。
・四十九日以降に半返しの品を郵送
・当日に2000円程度の品を手渡し
このどちらかになっています。
四十九日以降に半返しすることは、かなりの労力がかかります。
従来の一般葬ですと、〇〇部署一同や5、6人の連名があったりどなたにいくらぐらいの半返しをすればいいのか判断が難しいことが頻発します。
達筆過ぎて住所が読み取れないなども。
このような大変さを何とかするために、特に関東の一般葬では、当日に2000円くらいの品をお渡しして香典返しとする当日返しを行う葬儀も増えています。
この当日返しも香典の額が大きい方には別途、四十九日の忌明け法要の後に、やはり半返しの品を送ることは必要です。
それでも全員に半返しをするよりは、よほど簡単になっています。
家族葬のように参列者数がそんなに多くない場合は、従来の四十九日以降の半返しを行う人も多いです。
さらに、香典辞退を最初から言われる喪主の方もいます。
一般葬では、香典は思わぬ大きな金額になり葬儀費用の負担軽減に多いに役立つこともありますが、
家族葬では、同居家族は香典を包まないので、香典収入はそれほど期待できません。
香典や香典返しのやり取りのために受付の方や香典返しの手配などを考慮すると、香典辞退のほうを選ばれる人も増えています。
香典は誰のもの
香典は喪主のものです。
葬儀費用を負担した喪主への援助として、参列者から喪主への贈与として考えられています。
もし、葬儀費用を出した人が喪主以外の施主でしたら、香典は施主のものと解釈されます。
最近は滅多にないことですが、お返し分を差し引いて、残りを葬儀費用に使い、それでも余ったら、喪主がとっておきその後の法要や生活のために使ってよいものです。
香典の収入は非課税
香典の収入は、葬儀費用の負担や新しい生活が軌道に乗るまでの援助としての意味があったため、親族への生活費援助が非課税なのと同じで、非課税扱いとなっています。
49日の忌明法要以降に香典返しする場合は、その費用は何の経費にもなりません。
当日返しの場合は、葬儀費用に含めることができます。つまり経費として認められ相続財産から差し引くことができます。
香典返しと会葬御礼の違い
香典返しを当日に行う当日返しと似ていますが、会葬御礼という500円くらいの品をお帰りの際にお渡しすることも普通に行われています。
これは、参列していただいたお礼として行うもので、香典の額とは関係なしに皆さんに同じものをお渡しします。
2日間参列いただく方の香典は?
通夜と告別式の2日間とも出ていただく場合は、香典はどちらかのタイミングで1回いただくことが慣例です。
関東では2日目の告別式でいただくことが多いですが、ケースバイケースです。
会社からの香典は誰に返すか?
喪主や遺族の勤めている会社から、会社名や代表取締役名で香典をいただくこともあると思います。
これは社内規定によって福利厚生として出していただいているもので、香典返しの必要はありません。